拝啓 高校生のお前へ捧ぐ

Twitterで、こんなタグが流行っていた。

 

 

「高校生の自分に教えたいこと選手権」

文字通り、高校生だった頃の自分へ伝えたいことをツイートするというものだ。

これは私のツイートだが、正直、高校生の頃の自分に教えてやりたいことなんて、たかが140文字程度で済むわけがない。

上記のハリー・ポッター読みすぎ事件もしかり、「あれしろ これやれ それするな」なんてことは、本当はいくら言っても言い足りないくらいだ。

 

だから、少し考えた結果。

高校生の頃の自分へ手紙を書くことにした。

 

 

  拝啓 高校生のお前へ捧ぐ 

さしあたって、書き出しを考えてみる。

 

~拝啓 16、7の君へ~

 

違う。

これは明らかに何かをパクっている。書き直そう。

 

拝啓 高校生のお前へ

 

うん。これでいい。

 

高校生のお前。お前は今、元気にしているだろうか?

私は、高校を卒業し、大学を出て、今ではもう社会人になった、未来のお前の姿だ。

 

良い感じだ。

 

お前は今、高校何年生になるんだろうか?

もしも高2だったら、春にヴィクトリアズ・シークレットのオーディションに受かったばかりで、ミランダ・カーと同じランウェイを歩けることにめちゃくちゃ興奮している時期かもしれないな。

 

どういう過去だよ。
自分でも嘘過ぎて引くわ。

ちゃんと本当のことを書こう。

 

お前は今、高校何年生になるんだろうか?

もしも高2だったら、世間で言う『華の女子高生』と、自分の高校生活との理想と現実のギャップがあまりに激し過ぎて、夜な夜な泣きながらFF10をやり込んでいる時期かもしれないな。 

 

そうそう、こっちが正しい。

 

しかし、それは仕方のないことだ。

部活もせず彼氏もおらず、学校が終われば速効で帰宅し家で一人ワンピースを観ているお前の青春が、そもそも世間的に言う『華の女子高生』たちと同じようになるわけがない。

 

お前は、家が学校から異常に近いという地の利を生かして、誰よりも早く帰宅していたんだよな。

 

あの頃のお前は本当にワンピースが好きで、放課後に友達がどこか遊びに行こうと誘ってくれても、それをわざわざ断ってまでワンピースを観に家に帰っていたよな。

それぐらいワンピースが好きなもんだから、最後らへん、友達も気を遣ってもう誰もどこにも誘ってくれなくなったよな。

今だから言わせてもらうが、何断ってるんだ。行けよバカ。ワンピースなんてTSUTAYAで借りて見てろよバカワンピースバカ

 

それと、なぜお前は周囲が真面目に部活動に励んだり、コツコツ受験勉強したりしている中で、一人だけ楽しくワンピースの話をしているんだ?

「スリラーバーク篇面白い」じゃねーよ。

いいからお前も勉強しろ。今すぐしろ。特に英語を。今からちゃんと英語の勉強しておかないと、センター試験で痛い目見るぞ。ていうか、見たぞ。

 

200点満点中お前はまさかのセンター本番で80点をとるからな。その内30点はリスニングの点数だから、実質筆記で50点しか取れてねーぞ。何してくれてんだ。

 

それから、いくらハリー・ポッターの最終巻が発売されて嬉しかったからと言って、なぜ高3の10月から、ハリーポッターを全巻読み直そうなどと思い立ってしまうんだ?どんだけ勉強したくなかったんだ?

 

みんなが赤本で勉強してる中、お前一人だけ勉強するフリして分厚いハリー・ポッター読んでたよな。知ってんだからな。

 

お前がそんなんだから、結局第一志望の大学には受からず、滑り止めの大学へ行く。本当は浪人したかったかもしれないけど、それを言ったら親からあり得ないくらい怒られるから、結局そのまま通うことになるんだ。

 

まあ、当然だよな。

 

だが、入学した大学でお前は、当時留学中だったビル・ゲイツに出会い、どういうわけだか彼と交流を持つようになる。

その後、卒業と同時に立ち上げたIT事業の会社で大成功を収めるわけだが、これは、あまり周囲には言わない方がいい。すぐに金をたかられるようになるから。

 

嘘だ。

隙を見せるとすぐに嘘をつこうとする。

そもそも英語が死ぬほど出来ないくせにビル・ゲイツと会話できるわけないだろ。

書き直そう。

 

だが、入学した大学でお前は、色々貴重な体験をすることになる。

それに、高校にいた頃には絶対に出会えなかったような、色んな人たちとも出会う。

それは、いい出会いも悪い出会いもあるけど、すべて、お前という一人間を作る上で、今後大切な要素となっていくものだ。

 

そう、こっちが本当だ。

  

そしてある時、女子大生になって猛烈に彼氏が欲しくなったお前は、突然CanCamを買う。「ViVi」でも「JJ」でも「Ray」でもなく、CanCamだ。CanCamを読んでいる女はモテるというネットのよく分からん情報を見て、すぐに本屋に買いに行く。ホント、すぐにな。

 

これはマジの話だ。なぜかCanCamを読む女子は全員モテるという情報をかたくなに信用していた。

 

それが功を奏したのかどうかは今でも定かではないが、なぜか幸運に幸運がうまいこと重なって、お前はめでたく彼氏をゲットする。そりゃもうお前なんかにはもったいないくらい優しくて、穏やかな彼氏だ。

 

これも、本当の話だ。

 

高校生のお前は、自分はこの先、一生彼氏もできず結婚もできないんじゃないかと自分の未来に絶望しか感じてなかったと思うけど、案外どうして、お前にもちゃんと彼氏ができる日が来る。だから、安心しろ。

 

この先お前は、辛いことも悲しいこともいっぱい経験する。山ほどする。ブラック企業にも就職する。
でも、それよりももっとたくさん、楽しいことや嬉しいことを経験する。山ほどする。
だから今の私は、高校生のお前がびっくりするくらいのバカで本当によかったと思っている。
まあ正直、今もあんまり変わらないけど。

 

なので、高校生のお前よ。

お前の高校生活は、世間でいう『華の女子高生』みたいに華やかで楽しいばかりのものではなかったけど、でも、お前はお前なりの高校生活を楽しんでいたと思う。

というか、楽しんでいた。

お前は、友だちといる時よりも一人でいる時が一番楽しそうで、ワンピースとFFを心から愛する無類のバカだったけど、そんなバカでも、バカなりに楽しい青春だった。

それは私が一番知ってる。なぜなら私がお前なんだから。

  

だからもう、最後に言いたいことは一つだけ。

 

 

 

 

「受験勉強なんてしなくていいから、ハリー・ポッター読め」